形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

Megalithic・巨石構造物 (4)・Ezero culture

 

 

BC4,000年以後にブルガリア南東部 Haskovo州,Kardzhali州に現れたMegalithicです。

 

BC4,ooo年頃、[cernavoda culture]の侵入に追われブルガリア南部に移動した部族の中でも、コーカサス出身の部族は黄金を求めます。ロドピ山脈(Rhodopes Mountain)東部に流れる「Perpereshka river」,「Banska river」,「Arg river」は砂金の取れる川として知られています。少し北のHaskoveはミネラル泉(Mineral Baths)で有名ですし、東隣には「Chala」鉱山があります。金脈の存在が考えられます。そんなHaskov州,Kardzhali州に彼らは移動しています。(マップは製作中です)

この地域に現れるMegalithicは、「巨石構造物(3)」で紹介した「納骨塔」の延長線上にあります。写真(1)は移動初期のものだと考えます。が、見つかる数は少ないようです。「Varna 」では石灰石の柔らかい石でしたが、南部は火山性の岩石で、ポスト状に深く彫ることは労力のかかる作業だっと考えられます。

 

(1)Hlyyabovo ;HUNE BED

Sharapanas

コーカサス出身の部族であれば、鉱石を切り出しての冶金、ブドウの酒造、各種乳製品の加工などの技術を持っていたはずです。彼らの居住した地域で見つかる、石を切り出して作る円形の浅い容器状のものは「Sharapanas」と呼ばれています。直径2~10M位の「Sharapanas」が、ブルガリアでは何百個と見つかっているようです。ここで気を付けなくてはいけないのは「Sharapanas」は石から切り出された浅い容器状のもので、特定の用途のものをそう呼ぶのではないことです。

写真(2)は踏みつぶしたブドウの果汁を蓄える壺の切り出しが伴っています。明らかにワイン作りの「Sharapanas」です。

 

(2)Stone-Sharapanas ;AHRIDA.Org

 

写真(3~5)は山の岩場に彫られたcircleで、彫られた溝の先は断崖です。明らかに他の用途を考える必要があります。その答えは最終的な複合施設となった写真(9,10)から導き出されます。これらの山頂には「Sharapanas」(写真6)と大きな石の墓があります。公的な(City of Mineralni bani Official Website.)記事に書かれています。つまり、「鳥葬」を行う「Sharapanas」と共同納骨施設です。これが最終的な形状になります。

Haskovo州,Kardzhali州に存在するこれらの複合施設は、険しい側面の崖に四辺形(四角形から縦長の台形まで)の浅いNitchが彫られています。最初四角で縦長の台形に変わっていったように思えます。複合施設の中では初期のものだと考える「Perperikon」の石積で作った台形のNitchは、積石をずらして台形にしています。(写真8)大腿骨以外は小さいのでこの形が合理的であったようです。「Varna 」の納骨塔は四角形が基本でした。四角形の意味する「輝く雨」で「冥界の女神」を表したものだと考えます。「Perperikon」と同じ「Rhodope mountain」では石積Nichiの四角(輝く雨)と三角(女神)の組み合わせも見つかっています。つまり合わせて考えると、「冥界の女神の表象」から「合理的な台形の形」への変化が起こったことになります。そして間もなく「縦長の台形」は「鳥葬と納骨施設」の表象になったようです。この台形は数十センチから6m位のものがあります。そして浅い彫ですから実用は考えられません。居住地域から見ると、側面に「縦長の台形」が並ぶ、競り立った岩山は象徴的な造形物になっています。

「Perperikon」などの「石積で作ったNitch」は、金が取れる地域に急激に人口が増えて、石に深い穴を彫る労力の解決法だったと考えます。そしてやがて一か所に納骨する合理的な複合施設になっていったと考えます。

なお聖所の「Sharapanas」は「Altar(祭壇)」とも呼ばれています。これらの崖の上の「Sharapanas」や複合施設には後に神殿や教会が建ち、神聖な場所であり続けています。

日本のお寺でも磐座の背後の巨石に、「縦長の台形のNichi」が彫られていた記憶があります。調べましょう。

まだまだ続く

(3)Stone-Sharapanas ;Village of Petrov Dol(Varnaの東)   

 

(4)HARMANKAYA(Tatul,Kardzhali近く) ;Ancient Bulgaria.bg ;Ancient Bulgaria.bg

(5)HARMANKAYA(Tatul,Kardzhali近く) ;Ancient Bulgaria.bg ;Ancient Bulgaria.bg  

 

(6)Stone-Sharapanas,Hasara near the village of Voyvoda ;City of Mineralni bani Official Website.

 

(7)Alter atPerperikon ;Lufthansa Cityy Center ;

 

 

 

(8)Perperikon ;wiikipedia

 

 

(9)Hasara near the village of Voyvoda ;City of Mineralni bani Official Website.

 

写真(9,10)の頂上には、大きな岩の「Stone-Sharapanas」と「納骨の石棺」があります。これが「鳥葬の複合施設」です。

 

(10)Ardino ;Orlovi Skali

(11)Ardinoの複合施設 ;Auf Dailymotion Ansehen

 

大きい「縦長の台形のNichi」は数メートル(6or7m)のものもあり、こんなにも小さなものもあります。即ち、実用のものでなく「鳥葬の複合施設」のシンボルになったことが解ります。

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