形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

特別編 日本のゴルゴン (8)イシュタルの舟(13)

 

 

 

イシュタルの舟 槍の櫂とロゼッタの髪飾り

 

(104)金、紅玉髄・ガラス製髪飾り;エジプト、テーベ、BC16~15世紀(エジプト第18王朝時代);中近東文化センター付属博物館蔵

 

この素晴らしいロゼッタの金製cloisonne象嵌・髪飾りは、おそらくエジプト第18王朝5代ファラオ・ハトシェプスト(トドメス2世妃、在位BC1,500~BC1401年頃)のものだと思います。トドメス2世(BC1,518~1,504年頃)の他の妃達の墓からも同じようなものが出土しているそうです。当然妃であり、トドメス2世のあとを継いだファラオ・ハトシェプストも同じ様な髪飾りをもっていたはずです。当時、ロゼッタの文様は王家だけが使用したと考えています。ロゼッタは王権をのシンボルです。ヌビアAグループ文化の香台側面の彫り絵でそれは証明されます。

 

(102)香台側面の彫り絵 ヌビアAグループ文化(ナカダ文化と同時期);ピラミッド以前の古代エジプト文明 大城道則著 創元社 

 

真ん中の舟にはヌビアの王が乗っています。中央には王名を書くハヤブサのセレクがありますが、どの王なのか私には分かりません。解る方はぜひ教えてください。

歴史をみんなで楽しみながら学び、遊べる場が広がって欲しいのです。真実の歴史は後世に作り上げたくだらない偏見などを洗い流して、人の心を自由にしてくれます。哲学的な概念はあっても、宗教はまだない世界を見ています。そうすると宗教を超客観的に見られます。権力や文化、慣習までその意味が透明化するのです。歴史の真実を偏見の中から発掘して、楽しみましょう。

そして真ん中の舟には「王権のシンボル」ロゼッタが描かれています。先王朝時代のヌビアです。ロゼッタのルーツとなる真の姿が見られるはずです。

花弁は月桂樹型の槍ブレイドの形です。この形はズールーの概念を持つ部族のアイデンティティなのでしょう。王権のシンボルとしての「ロゼッタ」のルーツです。

そして当然「月桂樹型の槍ブレイドの形」日本にも現れています。

 

(69)銅鐸絵 福井県井向 弥生時代(参照)

 

ここではズールーの概念を持つ部族の安念を祈る「銅鐸絵」を、ジグザグの「平衡の表象」で囲っています。

そして、このジグザグを二つ合わせると「七宝繫ぎ」の文様になります。「七宝」を繋いで「七宝繫ぎ」になるのですから、一つの「月桂樹型」は「七宝」です。「七宝」とは仏教で金銀財宝の意味です。金銀財宝に匹敵する大切なもの、それが「月桂樹型」という意味になります。なかでもその「月桂樹型」の中に「鳥」が図案化されると、王家の「ハヤブサ」を想起させ、もっと神聖な文様になっています。

そして写真(104)金、紅玉髄・ガラス製髪飾りの王家の「ロゼッタ」は「菊の御紋」を想起させるのです。

 

日本・中国の文様辞典 視覚デザイン研究所 編

 

日本・中国の文様辞典 視覚デザイン研究所 編

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