形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

「羽子板、扇」が導いたこと(5)酉の市 ;氷川神社

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仮題;「大地と豊饒」:Prehistoric Metal Artefacts from Italy(3500~720BC)
in the British Museum Research Publication
 

  「木の葉を隠すなら森の中」

氷川神社は一見、神社のデパートの様に複雑に見えます。長い歴史を生き抜く手法として、古きを頑固に捨てず、新しきを空間的に広げて取り入れたため でしょう。氷川神社の祭典を見るとき、その思いを強くします。例えば、「鬼」を祭りながら、撒豆式を盛大に行うようなことです。この神社を理解し、徳川家 康との関係、家康が持ち込んだ「祭り」を探すには、「形而下の石」の「表象」が大いに役立つはずです。ある表象の連続性に焦点を当てると、他の物との違いが際立 ち、その「形而下の石」に連続する時間が光り始めます。

まずは氷川神社の境内に立ってみましょう。三の鳥居をくぐると、え!これって!「修正鬼会(しゅじょうおにえ)」!

本殿の左右に「蛇の池」と「ひょうたん池」、すなわち「蛇に守られた大地の表象」。「大地」側には、いずれも「大地の表象」に関係が深い「門客人神社」、「御嶽神社」が「ひょうたん池」に正対しています。この表象は「丸い大地の表象」と「蛇の渦巻き表象」のアフリカに始まり、新石器時代、北イタリアで具象的なイメージ(写真参照)に変容します。写真のオブジェは時代の下った「鉄器時代」のものなので、「男と女」、「牡牛と牝牛」「出産の表象二体」、多くの「出産のシンボル、水鳥」が「大地」にあふれ、「大地の表象」は「生殖の表象(大地に描かれた丸に十字)」と表象的に結合し、「豊饒の大地」になっています。また観念的な「丸い大地の表象」は、アフリカから北上してきた幾つもの部族がアルプスの岩山の壮大な存在を目にし、人智を越えた具象的な「山」そのものが「大地の表象」になります。「御嶽神社」が「ひょうたん池」と同じ表象になる理由です。「門客人神社」はこの部族が持ってきた「神」が「ミミズク土偶」に表象される「蛇に守られた大地の表象」だった理由により、「ひょうたん池」と正対しています。つまり、ここにはインドヨーロッパ語族が生まれる以前の「地中海文化圏」の「豊饒の大地」が表象されています。(この文章の、大きな飛躍に感じる部分は「形而下の石」で少しずつ埋めていきます。) 

 「山」そのものが「大地の表象」になった姿は、後にインド・イラン語族のゾロアスター教で「大地の女神」の「山形宝冠」に現れ、以前にも書いたように、「観音菩薩」の「山形宝冠」に変容しています。「観念」が「具象的な表象」となり、「具象物」から「観念的表象」が生まれる見本です。水鳥が「出産のシンボル」である理由は、アフリカ・サハラ砂漠にある、タッシリ・ナジェールの岩絵を探せば、すぐに見つかります。

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ガリシア州(スペイン);ランボ海岸(ポルトガル)

Steinzeit Astronauten;Reinhard Habeck著

     

 

 

 

 

 

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