黄金伝説図録写真解説
氷川神社に関する「形而下の石」を探すなかで、「羽子板、扇]が導いたこと(16)で行き着いている地中海文化圏。その展覧会が始まりました。早速見てきました。ひとつ気になったのは、インド・ヨーロッパ語族南下による地中海文化の断絶が語られていなかったことです。ギリシャなどでも連続する文化のような展示になっていました。暗黒時代を抜きにギリシャの文化は語れません。ただ、やっぱり貴重な展覧会でした。エトルリアとクレタ、ミケーネの展示品に「形而下の石」がいっぱい見つかりました。エトルリア文化はインド・ヨーロッパ語族であるローマの勢力が強くなるBC4世紀以前、BC5世紀頃まで、ミケーネ文化は最盛期のBC15~13世紀を、クレタは最盛期を過ぎつつあったBC15世紀までを見ることにしました。まずインパクトから選ぶと「黄金餅」でしょう。
(1)金製祭祀用石刃・「豊饒の大地」;ビュロス・第4墳墓;ギリシゃ
BC1,450根年~BC1,400年
粒金細工は「蛇」の表象、二つの石刃で人型を作り祭祀用としている。「黄金餅型土器片偶」と同じ「形而下の石」。ただ、アナトリアでBC1,750年から帝国主義に変じたインド・ヨーロッパ語族のヒッタイト帝國から逃れた難民が多数ミケーネ文化に加わっているので、ギリシャ・アナトリアの「形而下の石」とした方が良いと思います。
*「羽子板、扇]が導いたこと(10・12)参照のこと
(2)金板;ナルチェ、モンテ・チェッレート墓地、大103号墓;イタリア
BC650年頃 細石技法の打欠き痕の文様「Chevron(Cheveron仏古語)」と「Me'andre(Meander・英)」に囲まれ、蛇に守られた「石刃=大地」。大地は花と同心円の生殖表象に満ち、生殖の女神=「チューリップの三女神(胴体部分はチューリップ花)」がいる「豊饒の大地」の「形而下の石」。「円盤石刃」に「Chevron(Cheveron仏古語)」「Me'andre(Meander・英)」はよくある表象だが、チューリップの三女神が現れるのは珍しいと思う。このプレートにもアナトリアの強い影響が感じられます。
*「羽子板、扇]が導いたこと(14)参照のこと