形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

トピックス(2)世界のヒョウタン展・国立科学博物館

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(1)百目鬼;栃木県、日本

 

民族植物学を専門にされている、湯浅浩史氏が収集された「世界のヒョウタン展」に行く時間がやっと取れました。もっと早く行くべきでした。今月の6日(日)までなので、とりあえず、急ぎ報告します。時間の許す方は是非見て下さい。今、私が書いている「羽子板、扇が導いたこと」、「黄金伝説展・展示品解説」に出てくる古代地中海世界の表象が伝播される様子がよく理解出来るのです(植物としての伝播とは時間軸が違います)。「百目鬼」も古代地中海世界から登場しています。「羽子板、扇が導いたこと」では「荒巾木」に結びつき、「黄金伝説展・展示品解説」では「柘榴・生命の樹」に関連します。後日、「形而下の石」を更に積み上げた時、すべて見えてきます。(1)「百目鬼」と(2)エクアドル、(3)ペルーの仮面を比べて下さい。会場では、「神が宿るひょうたん」としてパプアニューギニア、イースター島、ベネズエラ、そして台湾、日本のヒョウタンが展示されています。「エクアドルの仮面」は「眉」「花」「Chevron(Cheveron仏古語)」に「瓢箪の大地に生命の樹」が現れ、栃木県・百目鬼」と「ペルーの仮面」には「大地の神」が現れています。(4)飾り瓢;ウズベキスタンでは「Me'andre(Meander・英)」が施され、「大地」を表す壺から、ミノア文明・「生命の樹」が「イチョウの葉」の様に変容して伸びています。「渦巻」は「唐草模様」として表されています。ミノア文明から長い時間の経過が考えられます。(5)手提げ;ウズベキスタンに至っては、「渦巻」を表す「唐草模様」に「柘榴の実」更に「柘榴の葉」に似た文様が「瓢箪の大地」を満たしています。「赤」は「柘榴の花」、「黄」は「Silphiumの花」、イチョウの葉状に小さくて黄色い花が咲いたそうです。そしてその実がハート形で、産後の子宮洗浄や避妊に使われたようです。クノッソス宮殿、玉座の背景や、古代のコインにその姿を見ることが出来ます。「多産と豊穣・生命の樹と瓢箪の大地」です。この企画展には「生命の樹」と「大地の神」の道が見えています。「百目鬼」には「フンババ」も関連するため、より慎重な精査が必要です。もっと多くの「形而下の石」を積み上げるつもりです。

「黄金伝説展」写真(20)ミノア文明、ミケーネ文明、石刃(石包丁)・形而下の石スケッチ(和久譲治)参照

 

 

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(2)仮面;エクアドル

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(3)仮面;ペルー

 

 

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(4)飾り瓢;ウズベキスタン

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(4)飾り瓢;ウズベキスタン(拡大)

 

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(5)手提げ;ウズベキスタン

 

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(6)飾り容器;マリのバンバラ族(アフリカ)

 

アフリカの文様は判断が難しい、原初の文様に幾重にも未来が重なっています。「伝播の道」は「道」ですから「行き」と「戻り」は常にあります。このことを利用して、短期的には「伝播の道」を逆に説明することも出来るのです。(アフリカとヨーロッパの人の移動など)長い時間軸における「形而下の石」を地理上に並べることが必要です。そのなかで、写真(6)は地中海文化圏における「蛇に守られた大地」を端的に表象しています。「Chevron(Cheveron仏古語)」された大地にいる「馬」は時間的な考察が必要ですが、中央アジアからアフリカへの人と表象の「戻り」が考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

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