(1)[Boteh]ブローチ;白蝶貝、胡蝶貝、ダイヤモンド、サファイア、エメラルド、パライバトルマリン、スピネル、18金製;Petit Fiori ・和久譲治
クリスマスにふさわしい、可憐で華やかな(自分で言います。お許しを)作品とStone Setting(石留め)を紹介します。テーマの[Boteh]は、ペイズリー文様のルーツに深く関係した言葉です。長くなりますので後日、私見を述べます。今回はイタリアのシェルカメオと同じ洋彫りタガネ(graver)で仕上げた、白蝶貝、胡蝶貝をお楽しみください。胡蝶貝で彫りあげた扇型の花はカーネーションをイメージしています。ペルシャの文様には欠かせない花です。このペルシャのカーネーションは、自分でもお気入りの造形とテクニックです。
(2)洋彫り(Graver使用)の胡蝶貝カーネーション
そしてStone Setting(石留め)です。最下部はお馴染みの、金属に一度埋め込み、デザインに掘り出す[Pave' Setting]で、二つのダイヤモンドを台形に留めています。その上部は「Pipe Setting]で大きめのダイヤモンドを石留めし、両サイドには葉型のエメラルドを「Clauw Setting]であしらっています。
(3)Split prongs setting
エメラルドは台座に置いて猛禽類のような爪で留める「Clauw Setting]ですが、サファイアは爪の内側にカットを入れ、先を二つに割った四本の爪で、台座から浮かせています。「Split prongs setting」で留めると、、台座から浮いているため、宝石に金属の影が映り込むことがなく、石の周りに金属が見えることもありません。そして八か所で固定するため、大きい宝石も、デリケートにしっかりと留まります。色彩を楽しむ宝石に金属の干渉は美しくありません。
(4)Prog beads setting,Flash setting
白蝶貝の花は「Prog beads setting]に留められたダイヤモンドのネジで固定されています。小さいダイヤモンドはビーズ( beads)の様に、小さく丸い玉型に留めるのが美しく見えます。チューリップ形の造形は大好きでよく用いています。今回は平面に叩き込む「Flash setting」に留めています。この他には、突起部分を[Pave' Setting]にして、残りを「Pipe Setting]にすることが多いです。
(5)淡水ピンクパールペンダント;Petit Fiori 和久譲治
(5)淡水ピンクパールペンダント(拡大);[Pave' Setting]と「Pipe Setting]
トータルの造形はデザイン画ですが、細部にこだわった「Stone Setting(石留め)」が適材適所に使われなければ、イメージするニュアンスは生まれません。「Stone Setting(石留め)」は「宝石」を活かす大切なメソッドなのです。