エトルリア
「黄金伝説展・古代地中海世界の秘宝」の展示品は本当に奥深い。その表象には埋もれたり、隠されたりした歴史の事実が浮かび上がります。この展示品にも長い説明が必要なようです。表象と歴史が複雑に入り組んでいます、双方からの精査が必要です。
(13)金製指輪;エレトリア、エヴィア島、ギリシャ(BC475年~BC450年)
幸いなことに、比較的理解しやすい植物の表象が含まれています。ここから始めようと思います。まず目立つのは、図録に書かれている「ロゼッタ」です。しかし、以前から書いているように、ざっくりと「ロゼッタ」では、正確な表象の意味が分かりません。何の花なのでしょう。私にとっても偶然で驚いていますが、クリスマスに紹介しました[Boteh]ブローチの花と同じ意匠なのです。(22)ロゼッタと(22)[Boteh]ブローチの胡蝶貝カーネーションを見比べて下さい。
(22)横たわるシレノスが表された飾り石・ロゼッタ(拡大)
(23)[Boteh]ブローチの花;洋彫り(Graver使用)の胡蝶貝カーネーション
私は[Boteh]ブローチの花をデザインするとき、陶器や織物の花をできる限り集め、ジュエリーに製作したときの美しさを、素材をサンプリングしながら考えました。そこでいちばん役立ったのはトルコ「Rhodian period]の花でした。それにしても、「Rhodian period]は15世紀後半~17世紀中頃です。(BC480年頃)とは時代が離れすぎて今回は参考になりません。[Boteh]の流行ともなると、ナポレオンの時代です。カーネーションは西アジア原産の花で、一般には、アナトリアまで征服したアケメネス朝ペルシャの絵影響でギリシャ時代から栽培が始まったと言われています。それから、ミノア文明で「生命の樹」のモチーフとして集まった、ナツメヤシ、柘榴、シルフューム(参照)
と同じような「扇型」の造形に取り込まれたのでしょうか。とにかくエトルリアでは珍しいカーネーションの花と造形です。もう少し考えてみましょう。
もちろん、「扇型」のカーネーションは「後光」を表象しますから、「後光」=ナーガ(蛇)に守られた「石刃由来・豊饒の大地」の構図は「Chevron(Cheveron仏古語)」や「Me'andre(Meander・英)」の表象がなくても成立しています。