形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

フランスパン; ロデヴ(Lodeve)とリール(Lille)・二つのパンの物語(7)

 

フランスパンを作った 文化要因

ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)・3

 サルマタイ  スキタイ  サカ

 

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(51)金製柄の短剣と装飾鞘(poignard dans son fourreau);金、ガーネット、カーネリアン、トルコ石・1世紀最終四半期;ウクライナ、ロストフ州、ダーチ墓地一号墳:L'OR des amazones,PARIS musees

 

 

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(52)金製短剣柄、金、トルコ石・1世紀第二四半期;アフガニスタン、ティリヤ・テベ4号墓:黄金のアフガニスタン図録

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(53)金製柄の短剣と装飾鞘(poignard dans son fourreau);金、ガーネット、カーネリアン、トルコ石・1世紀最終四半期;ウクライナ、ロストフ州、ダーチ墓地一号墳:L'OR des amazones,PARIS musees

 

フランク王国・メロヴィング王朝・クロヴィスの装身具に現れる「ガーネット象嵌」の技術と素材のルーツから、フランス文化の根幹を探る試みは、黒海北岸の遊牧騎馬民族・スキタイ・サルマタイ文化に行き着きました。そんなスキタイ・サルマタイ文化の歴史が浮き彫りになる遺跡があります。アフガニスタン、ティリヤ・テベ遺跡です。被葬者について図録の中で、河野一隆氏が「月氏に追われ、パルティアにやって来たサカ族も候補のひとつとされている。」と書かれていますが、遺物に現れる「表象」は明確に、スキタイ・サカ族を指示しています。それだけでなく、スキタイ・サカ族の歴史が表象の連続性として、表れています。「ガーネット象嵌」のルーツにはとんでもない情報量が現れました。何から書いたら良いのか、迷ってしまうほどの情報量なのです。しばらくは、この表象について整理をしたいと考えています。

まず見て頂きたいのは写真(51)~(53)です。この形の短剣はBC5~4世紀と比定される木製の鞘と青銅製の短剣が、東中央アジアのアルタイにあるウランドリク遺跡から見つかっています。この地域のイラン語系・遊牧騎馬民族が、乗馬の際に太ももに装着する実用の短剣であったと考えられています。(木製の鞘と聖堂圏に黄金装飾を被せていたとすれば、この短剣は族長のシンボルだったかも知れない。)そしてその短剣を金と宝石で飾った宝剣はイラン語系・遊牧騎馬民族の族長が帯びたものと考えられています。写真(51)はその当時、サルマタイが有力だったウクライナで見つかり、 写真(52)はアフガニスタンで発掘されたものです。

これらの宝剣を表象と宝飾技術、素材から比較するとおもしろいことが分かります。

先ずは、宝剣柄の丸い部分を精査しましょう。一見しただけで、「石留め技術」の違いが分かります。ほぼ同じ時代に作られた宝剣のこの違いは、なにを意味するのでしょうか? 

 

 

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(54)パン ド セーグル;JEAN FRANCOIS

         ドライイーストを使わず天然酵母なのでしょう。ライ麦の風味がしっかりと楽しめます。食感はフランスパンのように食べやすく、やはり、風味と食感の構成に才能を感じます。現代のライ麦パンとして本当におすすめの一品です。

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