形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

フランスパン; ロデヴ(Lodeve)とリール(Lille)・二つのパンの物語(9)

 

フランスパンを作った 文化要因

ガーネット象嵌(cloisonne  de grenats)・5

 サルマタイ  スキタイ  サカ パルティア

 

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(57)金製柄の短剣と装飾鞘(poignard dans son fourreau);金、ガーネット、カーネリアン、トルコ石・1世紀最終四半期;ウクライナ、ロストフ州、ダーチ墓地一号墳:L'OR des amazones,PARIS musees

 

1世紀最終四半期,この短剣に現れている表象、そしてこの短剣に使われている宝飾技術、この短剣の宝石、この短剣の意味すること(アレス神のご神体として)、この短剣がウクライナ・ロストフ州で見つかりサルマタイ王族の物と考えられること(すなわちサルマタイとの地理的、時間的、歴史的な関係性)、これらすべての条件を満たす民族の王国があります。「アルサケス朝パルティア」です。(57)金製柄の短剣を「アルサケス朝パルティア」のものとして、(58)金製柄の短剣を「サカ」のものとして考える理由、そして両者の関係性をこれから、一つ一つ書いていきます。

 

南コーカサス諸語(ジージア語、メグレル語、スヴァン語、ラズ語)の祖語として知られるカルトヴェリ語は、人類の文化史にとって大変貴重な言語です。およそあらゆる言語の根底に、その意味合いは内在しています。その言語に「kaka]という言葉があります。「石」、「仁・果実の核」、「麦の穀粒」、「豆の種子」などを意味しますが、更に意味合いを遡れば、「固い物」、「丸い物」を示し、言語以前の表象では「固くて丸い物、すなわち大地」を表します。

宝剣柄の丸い部分は、すなわち、固くて丸い部分は、この民族の暮らす大地を示しています。(58)短剣には「くま」、(57)短剣は「フタコブラクダ」です。イラン語系遊牧民の暮らす台地で「くま」、「フタコブラクダ」が主に生息している場所はどこでしょうか。私の知識では、「くま」はシベリア、アルタイ、「フタコブラクダ」は中央アジア、少なくてもイランから東、となります。すなわち、この両民族は中央アジア東からアルタイに展開していたイラン語系遊牧民だと考えるのです。

 

 

 

 

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(58)金製短剣柄、金、トルコ石・1世紀第二四半期;アフガニスタン、ティリヤ・テベ4号墓:黄金のアフガニスタン図録

 

 

 

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