形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

「羽子板、扇」が導いたこと(2)酉の市

 

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別府熊手商会HPより

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尖石;宮坂英弌著:画家宮坂春三氏、大正11年尖石遺跡で発見;東京大学理学部研究室所蔵

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三菱マテリアルとコロワイドの株主優待

黄金餅

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G-callclubサロン お取寄せ黄金餅

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 精華堂あられ総本舗;黄金餅セット

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縄文土偶ガイドブック;新泉社:分銅形土偶

八王子貝塚 愛知県西尾市(縄文後期)

西尾市教育委員会所蔵

 

「酉の市」

花園神社;氷川神社

「酉の市」の説明は言葉ではどうしても長くなります。そこで、少々乱暴ですが、表象文化史の手法で入ります。「酉の市」の縁起物とされてきた、「熊手」「頭の芋」「黄金餅」とは何か?そこから切り込めば、本質が見えてきます。説明は長くなりますが、お付き合いください。徳川家康の新しい顔が見えてきます。「酉の市」を精査するうちに、私は徳川家康のぶれない、大きな山のような人格に感動しました。

江戸時代後半、「鷲神社」の「酉の市」で「熊手」「頭の芋」「黄金餅」が縁起物として売られていたようです。錦絵にも描かれれています。しかし、鷲神社の縁起も曖昧なうえに、三つの縁起物と神話時代の日本武尊とは表象文化史的に結び付きません。

そもそも、「ほうずき市」「羽子板市」「朝顔市」とも、徳川家康に関わる武士の文化から始まり、江戸時代後半から、庶民の市になっていました。「酉の市」のルーツ探しは徳川家康の江戸入府時に求めるべきでしょう。

徳川家康の江戸入府時からあり、神話からでなく、納得できる神社縁起を持ち、「酉の市」を行っている神社は「花園神社」だと思います。HPの「花園神社縁起」は控えめに書かれていますが、優れた歴史資料だと思います。

「花園神社は、徳川家康の江戸開府(1603)以前から新宿の総鎮守として重要な位置を占めていました。

徳川氏が武蔵野国に入った1590年より前に、大和吉野山より勧請されたとされています。」(花園神社縁起)

大和吉野山より勧請された神社は、豊臣秀吉とも縁のあった「吉野水分神社」だろうと思います。

出雲族が開墾したと言われている旧武蔵野国足立郡にある「氷川神社」と同じく水信仰の総鎮守で、徳川家康の江戸入府以前の武蔵野国には相応しい、農耕神を祀る神社です。

そして、写真の説明ですが「熊手」「頭の芋」「黄金餅」が「酉の市」の縁起物だとすると、それらが表象するものは地理上に一本の線を描きます。「黄金餅」が表象する、丸みのある分銅型土偶は愛知県西尾市の「八王子貝塚」からの出土品です。ここから豊川稲荷を右に見ながら、矢作川をさかのぼれば、徳川家康生誕の地、岡崎市に入ります。さらに北へ行くと長野県飯田に至り、そのすぐ北には伊那市があり、右に向かうと伊那町の高遠藩、八ヶ岳のすそ野をもう少し進めば、写真の「香炉形土器」が見つかった井戸尻遺跡のある富士見町です。そしてこの遺跡は分銅型土偶が見つかった最北の地になります。さらに富士見町から、八ヶ岳を正面に見ながら北上すると「尖石遺跡」のある茅野市に至ります。頭に芋をのせたような愛らしい土偶の出土地です。諏訪市を抜けると松本市、そして金沢加賀藩から徳川家康の次男;秀康が藩主となった旧越前国の福井県になります。   つづく

 

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青山浅田の五段弁当 一皿の組合せ

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青山浅田の五段弁当 羽子板

7月16日、しばらくぶりに加賀料理「青山浅田」に行きました。

またまた驚きました。季節の一皿に、「もみじ」「瓢箪」「ほうずき(鬼火)」が並んでいました。「もみじ」は「熊手」と同じ表象、「瓢箪」は黄金餅と同じものを表象します。「瓢箪」の文様は銅インゴットの四角を併せ持つ、七宝繋の連続紋になっています。「ほうずき(鬼火)」は単に添えたのではなく、ミニトマトにチーズの料理で、この季節、念入りに、いろいろなレシピで作るそうです。そして、「羽子板」がテーブルに揃いました。

 

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