形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

特別編 日本のゴルゴン (8)イシュタルの舟(11)

 

前方後円墳のとイシュタルの舟

 

 

(98)円形周溝状遺構 弥生時代中期後庸~後期初頭 大隅半島;鹿児島県立埋蔵文化財センター・縄文の森から第12号

 

鹿児島県の大隅半島に面白い遺構があります。「周溝状遺構」と呼ばれる空間です。また九州では弥生時代中期後半に限り「掘立柱建物跡」が見つかっています。もちろん「周溝墓」も見つかっています。「周溝状遺構」は竪穴式住居跡、掘立柱建物とセットで見つかるそうです。集落の大切な一部を構成しています。

そして{「円形」周溝墓}が写真(99)です。しかし、これを「円形」と呼ぶのは無理があります。

私は下にお見せする表象と結びつきました。

 

(99)「円」周溝墓 京の峯遺跡

 

形も概念的にも一番妥当な解釈は、古代サルデーニャの共同墓地です。真ん中の遺体を搬入する入り口はコーカサス山脈西斜面にある「メンヒル」と呼ばれる「共同墓地」(参照)の影響です。今見て欲しいのはズールーの概念が大切にする全体の形です。

 

写真(66)の右下にある表象の意味を探していました。埋葬に関係する表象で、コーカサスの概念とズールーの概念が融合した場所に現れると思い、サルデーニャ島に目星を付けました。オジリエ文化・Ozieri culture(BC3,200~BC2,800年頃がまさにその時期です。エジプト・ナカダ期と同じ状況が生まれた文化です。

そして写真(101)の陶器遺物 をみつけました。「相似的に積み重なる天の王女の子宮」です。写真(63) で以前に説明しています。「相似的に積み重なる宇宙」を表象します。

写真(98)円形周溝状遺構の様に現れたら、女神の子宮内にあるこの現生の、更にもう一つの世界を表しています。先祖のいる場所です。一方、遺体を包むと「女神の元の平衡」、「安らかな眠り」を意味します。肉体は安らかに眠りながら、魂は小さな子宮の中で現生の人々と暮らし、彼らの生命が積み上げられた「円環」の様に成長する手助けをします。ズールーの概念です。

この後奈良盆地で、どの様な概念で、前方後円墳に変化していくのでしょうか。一緒に考えましょう。次回は「槍の櫂」について書きます。今回のことで答えが出そうですね。

 

(100)古代サルデーニャ、共同墓地、オジリエ文化(BC3,200~BC2,800年頃)

 

 

(66)2.板絵 鳥取・青谷上寺池遺跡 3.土器 岐阜・荒尾南遺跡  (前)奈良文化財研究所 副所長 深澤芳樹氏講演会資料「描かれた日本古代の舟」

 

 

(79)古墳埴輪の絵、奈良・東殿塚古墳 (前)奈良文化財研究所 副所長 深澤芳樹氏講演会資料「描かれた日本古代の舟」

 

 

(101)サルデーニャ島・オジリエ文化(BC3,200~BC2,800年頃)陶器遺物  Grotta San Michele di Ozieri;DestiMap;Destinations

 

(63)エーゲ海のキクラデス諸島・シロス島(Siros)の墓所で見つかった「王女の子宮」(参照)

 

 

 

 

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