形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

Magura CaveとOzieri culture(8)女神たちの表象

 

もう一人の「雨と太陽の平衡の女神」

Tiszapolgar culture4,500~4,000BC

 

(30)ハンガリー「Tiszapolgar culture(4,500~4,000BC)」のsites; resarchgate

 

 

(25)黒海大洪水の後の変化(参照)

(29)黒海大洪水後 Starcevo,Vinca,Karanovo,Varna cultureの展開(参照)

 

通常「Varna culture」と言えば「Varna Necropolis」などの墓地から見つかる黄金をイメージします。そこに葬られている個人墓の有力者は、黄金のペニスサックをしています。明らかにアフリカ系の人物です。つまり、「Varna culture」とは「Durankulak」に上陸した冶金技術を持つコーカサスの部族と「Karanovo culture」の部族が作った文化になります。正確を期すため「Varna culture」、「冶金技術を持つコーカサスの部族」、「Karanovo culture」といった区分で書いていきます。

そして「冶金技術を持つコーカサスの部族」と「Karanovo culture」の部族の、金採掘における協力関係が二枚貝の「雨と太陽の平衡の女神」を生みました。

またMagura Caveの岩絵にはタイプの違う「雨と太陽の平衡の女神」が「天の王女」とともに描かれています。その経緯を探りましょう。

 

(12)ブルガリア・「Magura cave」の岩絵、太陽と雨の平衡の女神と天の王女;The complete catalog of all Magura cave paintings-creation,use and perspectivew.

 

写真(29)で見るように、「冶金技術を持つコーカサスの部族」が金採掘をしているSofia領域に「Vinca culture」の文化圏が広がってきています。ここで新たに「冶金技術を持つコーカサスの部族」と「Vinca culture」の部族に協力関係が作られたと考えられます。「冶金技術を持つコーカサスの部族」と「Karanovo culture」のSofia領域での協力関係はそのまま継続したものと思われます。なぜなら次の黄金採掘の舞台となるサルディーニャ島においても両者の関係は継続しているからです。それはサルデーニャ島での二人の女神の表象に現れています。コーカサスの部族は両者と別々に金の採掘をした考えられます。

「Vinca culture」の部族と「冶金技術を持つコーカサスの部族」が選んだ採掘現場はハンガリー北部です。一般にこの時期のハンガリーの文化は「Koros-Cris culture」から変化した「Tiszapolgar culture(4,500~4,000BC)」として考えられています。しかし、この文化の遺物のornamentを見れば、安産多産の表象である「ダブル渦巻」です。これは「上部マグダレニアン(Superieur Magdale'nienne) 文化」の表象を持つ「Koros-Cris culture」ではほとんど見られません。彼らはCheveron・平衡の表象を持ちます。安産多産の「ダブル渦巻」表象はアフリカ系のものです。(日本の銅鐸では重要な表象です)

考えられるのは「Vinca culture」の部族と「冶金技術を持つコーカサスの部族」の進出です。「Tiszapolgar culture(4,500~4,000BC)」とは「Vinca culture」の部族が優位を占めた「Vinca culture」、「冶金技術を持つコーカサスの部族」、「Koros-Cris culture」の連合体です。ハンガリー北部では金、銀、銅を採掘したと思われます。

4,000BC頃に北部ステップの騎馬の民「Cernavoda culture」の部族に北部バルカンを追われた後、北イタリア・Liguriaでは銅の採掘が3,500BC頃始まり、Lake Garda(ガルダ湖)の周辺には「ダブル渦巻」のornamentが現れます。

 

(31)copper spiral ornament「Tiszapolgar culture」;Wikipedia

 

(32)copper spiral ornament「Tiszapolgar culture」;Wikipedia

 

© 2019 JOJI WAKU Blog. All rights reserved.