形而下の文化史

表象文化史・ジュエリー文化史・装飾文化史

 

特別編 日本のゴルゴン (8)イシュタルの舟 (3)

 

子宮の中のイシュタルの舟

 

()

(63)エーゲ海のキクラデス諸島・シロス島(Siros)の墓所で見つかった「王女の子宮」

 

キクラデス諸島・シロス島墓所で見つかるこの副葬品の名前はありません。命名しました「王女の子宮」です。「鳥の足を持った魚」はイシュタルです。「雨」の表象として無数の船の漕は「雨」の表象です。死者を冥界に送る「イシュタルの舟」が、無数の生命が詰まった女神の子宮の中にあります。子宮の形は「平衡」、「女神」、「豊穣」の表象で出来ています。コーカサス地方と同じ表象なのですが、様子が違います。これは写真(64)、(65)を考え合わせると理解できます。マジシ・クネーネが書き残した「アフリカ創世の神話」で説明される「天の王女」の概念です。「ズールーの概念」として知られる宇宙のありようです。(参照)

アフリカの部族がジブラルタル海峡を超えてヨーロッパに渡り、アルタミラ洞窟などに洞窟絵を描き始めて頃の惨事です。(参照)

この災害とそこから蘇る大地の出来事は、出アフリカしてヨーロッパに残った新人に「sheveron・平衡」の表象と概念を生み出させました。一方、アフリカ大陸に逃げ帰った部族は「ズールーの概念」を考えだし、生命と宇宙を理解しようとします。共通しているのは「雨の女神」の発想です。私の考えでは「雨の女神」の発想はヨーロッパで起こりアフリカにも伝わったようです。そこから、ヨーロッパの「雨の女神」は「sheveron・平衡」で表される「豊穣の女神・雨による平衡の女神」となり、東に伝播していきます。アフリカの「雨の女神」は「天の王女」となり、相乗的に重なる宇宙を表します。「砂の中の銀河」です。人間世界を含む円環(世代・時代・家が焼かれ立て直されるのは20年です。)は円錐形に重なり生命は発展します。塩盛、盛り土、山盛りごはんなどめでたい表象として日本にも伝わっています。三重,五重と重なる塔にも同じ概念が見られます。一つの円環は四つの世界で構成されます。(参照・私の解釈)

この「ズールーの概念」と黒海大洪水で「冥界の女神」となった「豊穣の女神・雨による平衡の女神」すなわちイシュタルはバルカン半島とその周辺部で出会います。地中海と繋がった黒海にはアフリカの部族が集落を作りました。cucuteniーTrypillian culture(BC5,500~BC2,750)は大きなアフリカ部族の文明です。彩文土器でもこの文明はコーカサス地方に影響を及ぼしています。ダイナミックでおおらかな動きのある曲線と赤、黒、白の色遣いはアフリカ部族の特徴です。

キクラデス諸島・シロス島の副葬品を見ると、死者を送るイシュタルの舟も、一つの宇宙の出来事で、多くの生命の流れの一つにすぎません。舟は王女の子宮に帰っています。

弥生時代の「イシュタルの舟」はどのように伝播しているのででしょうか。

 

 

(64)壺の中の女神;cucuteniーTrypillian culture(BC5,500~BC2,750)

四つの世界は四人の女神で表されています。壺は「天の王女」の子宮で、さらに大きな王女の宇宙を表しています。

 

(65)壺の中の女神;エジプト、ナカダ期BC3,600年頃 国立ベルリン エジプト、博物館:ナイルストーリー(参照)

 

マトリョーシカはこの王女の概念が民芸品になったものだと思います。

この時代のエジプト下流域やシナイ半島の彩文土器には「イシュタルの舟」が描かれています。

 

 

© 2019 JOJI WAKU Blog. All rights reserved.