Magura CaveとOzieri culture（4）女神たちの表象

Cucuteni-Trypillian culture(5,500~2,750BC)に残る北アフリカ部族の初期女神

黒海大洪水が起こった頃の女神の変化を知るうえで重要な手掛かりがあります。上の地図を見てください。北アフリカの部族（上記・Starcevo culture）と出会い、融合していったのはハンガリーのKoros-Cris cultureの部族ですが、カルパチア山脈にさえぎられて融合は西側で起こっています。黒海大洪水後Dniester riverを超えて北上し、ルーマニア、モルダビ、、ウクライナにまたがる地域に植民都市・Cucuteni-Trypillian culture(5,500~2,750BC)を築いた部族は東側、Dniester river南岸にいた為、接触は限られています。即ちCucuteni-Trypillian cultureの初期には、彼らが北アフリカから持ち込んだ文化がそのまま引き継がれていたと考えられます。

この仮説のもと調べると、Cucuteni-Trypillian cultureとアルジェリア・タッシリ・ナジュールの岩絵に同じ概念がある事が分かりました。そしてそれは徐々に変化しています。ズールーの概念がマジシ・クネーネ氏の著書「アフリカ創世の神話」に書かれているような完成形にまとまったのは黒海大洪水頃で、以外と遅かったようです。上記・Starcevo culture初期の部族とMagura Caveに「王女の子宮ポーズ」を描いた部族のズールーの概念には時間の経過が現れています。

それではCucuteni-Trypillian cultureの女神とアルジェリア・タッシリ・ナジュールの岩絵に共通する概念から見ていきます。

(19)タッシリ・ナジュール、アルジェリアの岩絵　;サハラ、砂漠の画廊、野町和義嘉写真集

十字に分けられた世界には、4つの子宮（王女）が在ります。四方に拡がる世界のすべては王女の子宮に覆われていることを表しています。そして4つの世界にはそれぞれ何かが描かれています。よく分からないとこもありますが、4つの世界はマジシ・クネーネ氏の著書「アフリカ創世の神話」の中で言及があります。神、祖先、男、女の世界です。最小の単位は家で「タルタリア粘土板」に描かれています。部族の集落にも4つの世界は共存します。多数の家があり、多数の集落があり、多数の地域があり、そのように4つの世界は天の王女の子宮の中で無限に広がります。アフリカ、

ところがCucuteni-Trypillian cultureでは、家の中の神の領域の地下に埋められていた4人の王女は壺の中にいます。そしてさらなる壷に覆われています。多重的に天の王女の子宮の中にいるのです。宇宙の概念が次元を超えて拡がっています。この概念の発達はCucuteni-Trypillian cultureで起こったのでしょうか。私は大黒海大洪水後の新しい北アフリカからの部族を考えています。この部族がMagura Caveに「王女の子宮ポーズ」を描いたと考えているのです。

なぜならCucuteni-Trypillian cultureの王女は4人いるので上に二重に壷を被せたら、矛盾が生じます。相似的に多重に拡がらないいのです。二次元的な四方の概念と宇宙的な多重が同居して矛盾を起こしています。

一方、新しいズールーの概念では、この世界は宇宙も含めて一つの天の王女の子宮の中にあり（雨の女神も天の王女の子宮の中にいる）、王女の子宮は類似的に多重的に次元を超えて重なり存在するのです。

こう考えるとCucuteni-Trypillian cultureの王女の4人は古い概念を残しつつ、新しい概念の影響を受けたと思えるのです。

これで現れた女神達の時間軸が見えてきます。ただふくよかなヴィーナスとスリムな天の王女、「Danubian　culture」の中で両者の関係性をさらに考察すべきでしょう。

黒海大洪水の後には開かれたボスポラス海峡を抜けて「二枚貝の女神」が現れます。

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